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のらねこ軒のブログ - 角物(かくもの)の作り方 (竹細工) 自動計算フォーム追加しました(2018/9/9)

角物(かくもの)の作り方 (竹細工) 自動計算フォーム追加しました(2018/9/9)

カテゴリ : 
竹細工
執筆 : 
tigrimpa 2018-3-16 12:40
(計算フォームへのリンクは記事の最後にあります)
今日は、竹細工の角物(かくもの)というカゴの作り方を説明します。
角物とは、この写真のような、四角いカゴのことです。編むというより、組み立てる独特の作り方で作られています。


角物の作り方は、ネットや本ではあまり見当たらないようです。私は見つけられませんでした。そこで、教室にあった見本(本職による市販品)を見ながら、ああでもないこうでもないとやっているうちに、おおむね作れるようになったので、私なりの作り方を公開することにしました。

考え方さえわかれば見かけより簡単です。組み立てている途中は本当にできるのか不安になりますが、出来上がると他の編み方にはない独特のぴしっとした形が出現するのが面白いと思います。ぜひ竹細工愛好家のみなさん作ってみてください。
まず、おおまかな流れを写真で説明します。

パーツを作り、曲げるところに印をつけ、縁の釘を打つところに下穴をあけておきます(サイズなどは後で説明します)。


曲げるものを、全部火曲げします。今回は小さいのでそれほどの本数ではありませんが、それでもけっこうあります。少し大きいものになると、えらい数のヒゴを火曲げすることになります。この手の火曲げは、ロウソクやアルコールランプでされる方が多いと思います。私は最初に習ったのがロウソクで、それ以降ずっとロウソク派で、以前角物の作り方を研究したときに、角物を5個くらい作って、ロウソクでの火曲げが上達しました。ちなみに、ロウソクはふつうの長いロウソクよりティーライトキャンドルが炎が安定して良いと思います。角物作りの一番難しいところはこの火曲げかもしれません。


今回は町田電子木工さんの銅管20mmコテ先という新しい道具を使って曲げました。ハンダゴテにとりつけた直径20mmの熱々の銅管に、ヒゴを押し当てたら、誰がやってもきれいに曲がるという道具です。直径20mmと30mmがありますが、角物には20mmが良いようです。この道具があれば、火曲げ部門は楽々だし、何より美しく仕上がります。


パーツの用意が出来たら組みはじめます。まず、底を筏底にします。筏底は、角物以外でもよくありますね。筏竹の左右の端が、上で終わるように組みます。下で終わるように組むと後がうまくいきません。私はこれをうっかり間違えて後でやりなおすはめになったことが何度もあります。


抜竹を一本入れたところです。ぐるっと回っています。内外内外と入れていきますが、角の地竹のところは、二本とも外側を回るようにします。


側面の筏竹(短いヒゴ)を4本入れたところです。側面の筏竹という用語は、私がむりやり考えた用語で、ちゃんとした専門用語は不明です。写真が非常にわかりにくくて恐縮です。抜竹と内外が逆になるように入れます。


側面を編み上げたところです。側面は、このように、抜竹(ぐるっと回っている)と、側面の筏竹(回らない短いヒゴ)が交互になります。抜竹6本、側面の筏竹5段(長短各10本)です。


その後、側面と底の間を埋めます。側面と底の間には、5mm幅のヒゴを4本入れ、側面と側面の間には、上の幅10mm、下の幅5mmで曲げてある、変な形のヒゴを入れます。この側面と側面の間のヒゴをはめ込むのが、けっこう大変です。ちゃんとはまる気がせずなんか間違ったかとイライラするけど、最後にはピタっとはまって、感激します。私は、細い方を挿してから、太い方をチマチマはめる感じでやっています。もしかしたら、もっとイライラしない方法があるのかもと毎回思います。


===
と、書きましたが、「側面と側面の間」「側面と底の間」をさきにやって、その後で側面をやるのが本式で、かつ、やりやすいようです。
===

下はこういう感じ


中はこういう感じ。側面の筏竹の端で押さえるような形になります。


一番上の筏竹を入れ、縁を当てて、地竹を切り、地竹に下穴を開けてから釘を差します。縁にはあらかじめ下穴を開けておきますが、地竹の穴の位置は予測困難なので、最後に開けます。


釘をペンチで押さえるか金づちで打って出来上がりです。内縁を皮で作るとここでパリッと割れてしまうことが多いです(多少割れても使用には問題ありません)。身で作れば割れません。


短辺側


長辺側


内側


下から


ここからパーツのサイズや本数を説明します。上の写真のカゴ、出来上がり長辺160mm、短辺110mm、高さ70mmの場合と、違うサイズで作る場合の考え方をあわせて説明します。ゴタゴタ書いてあるのは、違うサイズで作る場合の考え方なので、このサイズで作る場合は読み飛ばして大丈夫です(ゴタゴタ部分を青字にしました)。
角物は他の編み上げるタイプの竹細工と違って、必ず設計した通りになります。なので、設計は面倒くさがらずちゃんとやらないと、うまくいきません。

厚みは縁竹以外すべて1mmほど。それほど厳密でなくて大丈夫です。ちょっと薄いところや厚いところがあっても特に問題なく形になるので、せんびきとかで厳密に厚みを合わせる必要はないでしょう。

地竹(筏底を編むときに使うコの字に曲げるヒゴ)
 ・70mm+α | 150mm | 70mm+α (+αは余裕分、 | は曲げる位置)
 ・70mm+α | 100mm | 70mm+α
 の長さの地竹を各5本。幅は7mm。
 コの字の中央部分の長さは、長辺短辺それぞれの出来上がりより10mm短い長さです。左右は、出来上がりの高さに余裕を加えて用意し、最後に切ります。
 大きさの大小に応じて本数を増減する場合は、必ず奇数とします。


底の筏竹
 ・長さ140mm、幅7mmを8本。
 出来上がりの長辺より20mm短い長さで、幅と本数は、抜竹とあわせて合計が出来上がりの短辺より20mm少なくなるように計算します。この場合、地竹7mm×5本+筏竹7mm×8本=91mm。←1mm多い、厳密にするなら、出来上がりを111mmで計算するか、筏竹を7mmより0.15mmほど細くします。ここでは誤差の範囲と考えましたが、実際短辺がややきつい感じになりました。

抜竹(ロの字)
 ・80mm | 150mm | 100mm | 150mm | 60mm ( | は曲げる位置)
 の長さで、幅2.5mmを6本。節は真ん中の100mmの中央に来るようにします。
 出来上がりより各辺10mm短い長さです。端は重ね分を考えて長さを決めます。
 ここでは、短辺で重ねていますが、長辺で重ねてもOKです。重ね分は、地竹2本分重なって、端がちょっと出るくらいで計算します(実物大で図を書いてみるとわかりやすいです)。端の長さの計算が面倒だったら、長めにとって、後から切ってもいいですが、はさまっているので切りにくいです。先に切っておくことをお勧めします。
 節がある場合、節の位置は、地竹が5本や9本の場合は中央で良いのですが、3本や7本の場合は、中央は地竹の内側になるので、節の位置はよく考える必要があります。
 本数は高さに応じて。
 抜竹は、ロの字ではなく、コの字を向かい合わせにする方法もあります。節が2つ以上になると、節の位置が難しいからかなと思いますが、小ぶりのものでもコの字で作っている場合もあるので、デザインなのかもしれません。コの字にする場合は、重なり代をロの字と同じように考えて左右の長さを決め、ヒゴの本数は倍になります。


側面の筏竹
 ・幅2.5mm、長さ140mmと90mmを各10本
 ・幅10mm、長さ140mmと90mmを各2本(側面の一番上に入れる)
 出来上がりより長辺と短辺それぞれ20mm短い長さ。
 抜竹と側面の筏竹は、幅2.5mmくらいの細いひごを使うのが角物の定番のようなので、ここでもそうしましたが、もっと幅広にしても大丈夫です。大きいものを作る場合、例えば幅7mmの筏竹を2本ずつ入れるなどすると、曲げる本数そのままで、高さを高くできて楽です。幅の違うものをいろいろ組み合わせたデザインもあります。
 本数は、長短それぞれ、抜竹の本数-1×2と一番上の幅広の竹です。
 一番上に、幅広の竹を入れるのは、強度ということもあると思いますが、どちらかというとデザインではないかと思います。
 全体の高さは、抜竹の幅×段数+側面の筏竹の幅×段数+一番上の筏竹の幅+縁の幅+20mmくらいになります。この作品の場合、2.5*6+2.5*5+10+12+20=69.5mmです。


側面と底の間の竹
 ・幅5mm、長さ90mmと140mmを各8本
 はまりにくい場合は、一番下のヒゴを少し短く切るといいかもしれません。
 上の写真では4本しかありませんが、写真が間違いです。一か所に4本入れるので、8本必要です。長さは出来上がりより長辺と短辺それぞれ20mm短い長さです。
 教室で見た見本では、幅広のひごに左右からヨの字に切り目を入れたものが入っていましたが、作るのが大変なので、ネットでみつけた画像のこの方法を採用しています。


側面と側面の間の竹
 ・70mm+α | 50mm (+αは余裕分、 | は曲げる位置)
 の長さで、幅は片側10mm、片側5mmで、下の図のように切って、縦線のところで曲げたものを4本。細い方の先を少し薄めにしておくと挿しやすいです。

 10mmの側の長さは、出来上がりの高さによって決めます。

縁竹
 ・70mm | 152mm | 102mm | 152mm | 70mm ( | は曲げる位置)
 ・70mm | 148mm | 98mm | 148mm | 70mm
 幅12mm、厚み1.5mm。各1本。
 外縁は皮、内縁は身で。
 短辺の中央と、長辺の中央から左右に各33mmのところに下穴をあけます。
 重なり部分は、薄く削っておきます。
 下穴の位置は、釘を打つ位置が中央の場合は簡単ですが、中央以外の場合は考えるのが面倒くさいです。でも、出来上がって合わせてから穴を開けようとしても上手くいかないので、面倒くさくても計算して、曲げる前に印をつけて穴を開けておくのが良いです。図を書いて考えるとわかりやすいです。
 ここでは短辺で重ねましたが、長辺で重ねても大丈夫です。釘の位置で重なるようにします。
 抜竹は、各辺を出来上がりより10mm短くしましたが、外縁はその抜竹より2mm長く、内縁は2mm短くします。内外4mm差は、きちちきなので、うまくはまればピシっと仕上がりますが、竹の厚みや、火曲げの精度によってはうまくはまらないかもしれません。その場合は、5mm差にします(±2.5mm)。


同じような長さ(ここでは、100mm、90mm、150mm、140mm)で切ったり曲げたりすることが多いので、いちいち定規ではかるのではなく、紙の上に、その長さの印をつけておいて、それにあわせて印をつけると便利です。

釘は、ここでは、「WAKAI 真中釘 丸頭 20X16mm」という、太さ0.9mm長さ16mmの真鍮釘を使っています。細くて使いやすいです。#20というのが太さ0.9mmのことです。以前は太さ1.2mmの真鍮釘を使っていました。1.2mmでも大丈夫でしたが、それ以上になると曲げるのが大変だと思います。

作り方は以上です。

竹細工は編み方それぞれの魅力があると思います。ぜひ角物の魅力も作って確かめてみてください。

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2018/9/9追加

上にゴタゴタと書いた計算がいちいちめんどうなので、自動的に計算してくれるフォームを作ってみました。そしてさらに、その計算結果を元にした実物大型紙を、PDFで出力できるようにしました。説明などが不十分ですが、いじってみればなんとなくわかるんじゃないかと思います。よかったら使ってみてください。
角物計算フォーム・実物大型紙PDF

使い方:
- 既定サンプルデータが、4種類入っています。
- 「既定値を読み込む」のところにあるボタンを押すとそのデータが表示されます。「実物大型紙PDFを作成」を押すと、PDFファイルが表示されるので、PDFファイルを保存して印刷し、貼り合わせると、型紙になります。
- オリジナルのデザインにしたい場合は、右側の数値を変更し、自動的に表示される左側の数値を確認しながら調整してください。
- オリジナルデザインを作ったときは、「現在の設定を保存」を押して、データを保存しておくと、次回読み込んで使うことができます。
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