サルデッラ・カラブレーゼ sardella calabrese という、イタリアの塩辛のような食品を紹介します。「サルデッラ・カラブレーゼ」は、カラブリアのイワシ塩漬け、というような意味で、カラブリアというのは、長靴型のイタリア半島のつま先あたりにある州の名前です。カラブリア料理は、唐辛子を多用することで有名で、「イタリアの四川」と私は呼んでいます(たぶん他の人は呼んでない)。カラブリアだけに辛いわけです... サルデッラ・カラブレーゼももれなく唐辛子入りの塩辛です。
私は以前イタリアに留学していたときに、カラブリア出身の若者たち(大学生)とルームシェアしていたことがあるのですが、同居人たちは、帰省の折には山のように食料を持って戻ってきていました。その中にこのサルデッラ・カラブレーゼがあり、二十歳くらいの若者の口には合わなかったのか、これ、あんまり好きじゃないからあげる、とかなんとか言って、私にくれました。それが猛烈においしくて、若者の口にあわなくて超ラッキーと思ったのを覚えています。たしか、その子のお祖母ちゃん作だったと思います。
これは、数十年も前の昔のことで、すっかり忘れていたのですが、2020年のいつごろか、カラブリア食材のことをネットで眺めていたら、サルデッラ・カラブレーゼが出てきて、思い出がよみがえりました。作り方を検索してみたら、生シラスと塩と唐辛子をまぜるだけと超簡単で、生シラスは産地に行かないと買えないものかと思ったけれど、今は冷凍のものがネットで買えることがわかり、さっそく、冷凍生シラスを取り寄せて、作って食べてみたら、超おいしい!そして白ご飯に合う!酒の肴にもなるけど、白ご飯と最高の相性だということを発見しました。けっこう繊細な味で、酒の肴にはちょっとパンチが足りないのかもしれません。
さて、作り方です。ネットでみつけた作り方を参考にアレンジしました。
1. 生シラスを取り寄せて解凍する。
生シラスは高価なので、これを生シラス丼なんかにして一気に食べてしまうとかなり贅沢ですが、サルデッラ・カラブレーゼにすれば、毎日食べても1か月以上楽しめるのでコスパも悪くないです。
凍ってるときは、白い色をしていますが、解凍すると透明感のある色に戻ります。
2. 生シラス100gに対して、キムチ用唐辛子12g(粗挽き細挽き半々)と塩12gを加える(写真は2倍量)。
キムチ用唐辛子は、韓国食材屋さんや、輸入食材屋さん(カルディなど)の他、普通のスーパーでも売ってることのある、あまり辛くない唐辛子です。鷹の爪などの辛い唐辛子をこの量入れると超激辛になるので注意してください。私は粗挽きと細挽きを半々で使っていますが、どちらかだけでも大丈夫です。
カラブリアには甘い(辛くないの意味)唐辛子パウダーというのがあって、甘いのと辛いのをミックスして使うようです。日本ではキムチ用唐辛子が便利だと思います。
4. まぜる
5. 瓶につめて、上に油で蓋をする。
イタリアではオリーブオイルを使うようです。私は、オリーブオイルやごま油などいろいろ試してみましたが、個性の強い油を使うと味が喧嘩するので、菜種油(または他の個性の強くない油)がベストという結論に至っていますが、お好みで。
これは油で蓋をして空気に触れないようにすることで保存性を高めるのと、油のこくをプラスするという意味があると思います。上から食べていると、だんだん油がなくなってくるので、その場合は追加します。
生シラス200gで中くらいのジャム瓶ひとつ分になります。これは瓶の選定を見誤ってひとつに入りきりませんでした。
作ってすぐから食べられますが、最初は、ただ生シラスと塩と唐辛子を混ぜた味です。2週間くらいから、旨味が出てきます。毎日食べて味が馴染んでいくのを味わうのも楽しいです。カタクチイワシの塩漬けであるアンチョビは、「自己消化」という仕組みで出来るのだと最近知りました。サルデッラ・カラブレーゼも同じですね。イワシが持つ酵素の働きでタンパク質がアミノ酸に分解されるんだそうです。
のらねこ軒のお客さんが、これはチャンジャ(韓国のタラの内臓の塩辛)だ!イタリアン・チャンジャ!と言ったので、のらねこ軒では、サルデッラ・カラブレーゼは、もっぱらイタリアン・チャンジャと呼ばれています。
長々書きましたが、作るのは超簡単で本当においしいので、ぜひこれを読んでいるみなさんも作ってみてください。私は最近は生シラス1kg分をまとめて作って(5~6瓶になる)冷凍庫で保存しています。繰り返しになりますが、白ご飯との組み合わせが最高です!!