「WANを支えてくださっている皆様へ この間の事情の説明」という文書が,2月14日付けで一部の人にメールで配布され,その後
こちらに転載されました.
オリジナルはPDFでA4で5ページにもわたる長文ですが,要するに「遠藤さんはいつも怒っているからこれ以上一緒に仕事はできない,クビにするのもどうかと思って,他の仕事を提案してあげたのに,やっぱり怒っていて,わけわからない.そのうえ世間に訴えたりして,信頼関係がなくなったから,もうやめてもらうしかないことになった.この際,お金もないことだし,事務所閉鎖して,ついでに,カサイさんにもやめてもらうことにした.解決金は払うからさ」ということが書いてあります.
使用者が,うっかりと不当労働行為を自白する文書を配布して墓穴を掘ってしまう,ということは,争議の中ではよくあることではありますが,直接目にするとやはり瞠目してしまいます.
この間の経過で,私が最も不当だと思うのなのは,私が憎きあまり,ついでにユニオンWAN書記長カサイさんにまで退職勧奨をしてきたことです.カサイさんについては「Bさんの主たる仕事内容は、事務所の管理と法人事務ですので、事務所が無くなれば前者の仕事は無くなり、法人事務も私的居宅に事務所機能を移し理事のボランティアで担うことになったため、その仕事もなくなります。」と理事会は主張しますが,実際は,カサイさんの今までしていた仕事の半分以上は,これ以外のウェブ上の管理の仕事で,事務所がなくなっても十分自宅からのテレワークで対応できるものです.
なお,カサイさんは,何の事前通告もなく,1月末日で,ウェブ上の管理権限を剥奪されました.そして「あなたは事務所の引越しの用意をしろ」という業務命令が出ました.もちろんカサイさんは,業務命令に従って,事務所の掃除などをしていますが,それ以降,WANサイトは,今までカサイさんが地道に毎日やってきた作業が行われなくなり,リンクされるべきところがリンクされていなかったり,不適切なニュースがそのまま掲載されていたりという状態になってしまっています.
ところで,この間のWAN理事会のあまりにも迂闊な対応をみて,「やっぱり女はだめだ」という悪口を言っている人が散見されます.私は多くの労働争議を経験してきていますが,使用者はたいてい男でした.そして,その男たちも,WAN理事会と同じくらい迂闊な対応を繰り出していたのを見てきています.だから,WAN理事会が迂闊なのは,女だから迂闊なわけではない,ということを,確認しておきたいと思います.
それから,「女の労働者と女の使用者だから上手くいかない」「女同士だからうまくいかない」「やっぱりフェミはだめ」という悪口を言っている人も散見されますが,世の中の労働争議は,男対男だったり,男対女だったり,男対トランスジェンダーだったり,あるいは女対女だったりいろいろです.当然ながら,女同士の場合だけ,何もかもうまく行くはずがないのです.フェミニズムは「男は喧嘩するけど,女は連帯する」という「男らしさ」と「女らしさ」の押し付けのことではありません.当然ながら,ジェンダーにかかわらず,連帯も喧嘩も必要なときとそうでないときがあります.
【2/28加筆ここから】
フェミニズムは「男は喧嘩するけど,女は連帯する」という「男らしさ」と「女らしさ」の押し付けのことではありません.という書き方が誤読されそうだからもっと丁寧に説明せよとの指摘を友人からうけて,加筆します.私がここで言いたいのは,「男は喧嘩するけど,女は連帯する」という「男らしさ」と「女らしさ」の押し付けが,一部フェミニストにより繰り返されているようですが,本当のフェミニズムは当然ながらそんなものではないはずです.ということです.
【2/28加筆以上】
ジェンダーや主義にかかわらず,馴れない使用者が無邪気に行動すると,不当労働行為をしてしまいがちです.それを組合から指摘されても,簡単には自分が間違っていたことを認めたくないものです.そしてそこから,さらにまた,不当労働行為をくりかえしてしまうというのも,よくあることです.
「よくある」は「良い」という意味ではなく,同じようなひどい目にあっている人が,たくさんいるということです.フェミの学者だから悪いんじゃなくて,馴れない使用者はみんなこんな風なことを平気でやるものなのです.そうして,闘う条件が整ったごく一部を除いて,労働者は泣き寝入りを余儀なくされています.闘うのもたいへんだけど,泣き寝入りすることも本当に悔しくつらいことです.この争議が注目されて,世の中の使用者がもう少し慎重になってくれたらいいなと思っています.