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ユニオンWAN - カサイの気持ち

カサイの気持ち

カテゴリ : 
WAN争議
執筆 : 
 2010-3-1 18:27
もう一人の組合員のカサイです。
唐突ですが、わたし個人の思いをここでお伝えしたいと思います。

わたしはNPO法人WANに雇用される労働者としてWANとの関わりを持ち始めました。わたしはわたし自身と家族の生計を支えるための仕事を切望していて、そのためにかなり難儀を重ねつつ就職活動を続けていました。その経緯を知った遠藤さんからの紹介がWANとの出会いとなりました。面接の場には履歴書を持参し、WANという法人が何を目的としてどのような業務を行うものであるのかの説明をうけ、受け持つべき業務内容や勤務時間についての話し合いを行い、「WANへの就労」が決定し現在に至ります。

働くことで安定した収入が得られることは本当に嬉しく、何より安心できることでした。それまでに様々な事情があって労働の場に身を置くことが困難な状態が長く続いていたわたしは、ここに就労できたことで、冗談でも誇張でもなく、労働者として人として生きていくことができると心の底から嬉しく思ったのです。
わたしの行ってきた仕事は、既にあった仕事を行うというものだけではなく、サイトのコンテンツの増加や変更、会員サービスに付随する各種の対応など、常に変化があり、理事からの指示で、あるいはわたしや遠藤さんから提案して新たに業務として追加されたものなどもありました。仕事には積極的に取り組んでいたという自負もあります。もちろん日によって業務の多寡はありました。スキマ時間を使って工夫して行ってきた仕事もありました。

ところが、「この間の事情の説明」との文書の中で、理事会はわたしの仕事について【実は、これまでも、ご勤務の時間に見合う仕事量はなかったのですが、サイトを活性化し会員や寄付を増やす努力をして、Bさんの能力と労働時間に見合った仕事を作っていくべきと考え、雇用を維持してきました。】と「説明」されています。これはわたしにとっては大変な衝撃でした。

この文書が配布される以前、わたしへの退職勧奨とともにサイト管理者権限が剥奪される少し前に、わたしは理事の要請により、自分が行っている業務の内容を列挙し説明した文書を作成し理事に渡していました。理事のみなさんはそれぞれに本職とWANでの担当を持っておいででしたし、「仕事」の全体把握が困難だったのかしらと受け止め、かなり丁寧に説明したものを作りました。理事の方々は、それをご覧になって「この程度なら賃金支払いの必要は無い」と判断されたということなのでしょうか。わたしの「労働」は、それほどまでに軽んじられる程度のものだったのでしょうか。労働者として、賃金を支払われる「雇われの身」としてのWANへの参加はそれほど難しいことだったのでしょうか。

わたしは日常の業務を通じて、WANのWEB会員の方々やNPO法人の方々の、WANへの期待と思い入れに常に接していました。会員のみなさんのご期待に添えるよう、工夫もし、努力もしてきたつもりでした。メールのやりとり、サイト投稿の承認や管理などの関係だけであっても、誰かの思いに添って形にする手助けができるのは大きな喜びでしたし、同時にそれは働くものとしての責任であり、誠意で、労働者としての誇りです。そしてWANから得た賃金で、わたしは食料品を買い、息子らの学校生活のための費用を支払い、わたしにとって大切な場への参加費を支払っていました。解雇は、それら誠意と責任と誇りと生活の基礎を全て失うことになります。
わたしは労働を通してWANに関与し、WANでの労働によってわたしとわたしの家族の生計をたててきました。WAN争議はわたしにとっては誇りと命をかけた労働問題なのです。

賃金を支払う「雇用」を継続するのが困難であるというのなら、困難の懸念が出た時点で、十分に論議、協議を重ねて欲しかった。その懸念が即座に退職勧奨につながる拙速さを残念に思います。遠藤さんの労働条件切り下げについての協議の最中に、十分な根拠が示されないまま、ユニオンWANの組合員をまとめて解雇する方向へ走ってしまった理由を伺いたいと思うのは、決してユニオンWAN組合員だけではないと思います。WANの理念に照らして、WANへの期待と思い入れを強く抱く方々が居られることも勘案した上で、解決への方策を、労使で、また多くの会員さまやユーザーさま、NPO法人WANの支持者の方々、ユニオンWANの支持者のみなさんも含めて、一緒に、とことん話し合っていきたいと今も願っています。

最後になりまして恐縮ですが「意思表明さえためらわれる」とお考えの方が、それを超えてまでご支援をお寄せいただいていることに深く感謝いたします。多くのかたがたからお寄せいただいたメッセージを重く、そして暖かく受け止めています。わたしもまた、不安と懸念を抱いているものです。わたしにも守って支えなければならない存在がありまして、それがために強くも弱くもなっていました。今もまだ日々葛藤の毎日です。女が、ひとりで、自分を含めていくつかの生存と誇りを支えることに艱難辛苦している今日このごろです。
みなさまの叱咤激励を何よりの糧としております次第です。

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コメント


ゲスト
投稿日時: 2010-5-12 12:31  更新日時: 2010-5-12 12:31
 Re: カサイの気持ち
インテリ・エリート(失礼、)のえんどうさんばかり表にでているけど、カサイさんの気持ちのほうが、多くの非正規労働者や多数派の女性たちの気持ちに近いものがあると思う。わたしは、個人的にWANの理事たちの中に、その仕事や姿勢に、尊敬する人もいます。
しかしながら、立場が違う(特に経済的な面で)とこういうことになってしまうのか、とこの問題を知ってから、もっともっと真剣に労働法や労働者(外国人労働者も含めて)の現実を学びたいと思うようになりました。わたし自身の置かれた状況も含めて。

しかし、地域行政の女性センターのやってる事業って、あらためて調べてみて気づいたけど、文化啓発事業ばっかりやなあ。しかも平日の昼とか朝とか、どういう人が参加しているのだろうか...

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