竹の割りへぎは、基本的にはナタだけで行いますが、へいだ竹の厚みをそろえたいとき、せん引きという道具を使います。私は、個人の方が作ってヤフオクで販売していたせん引きを長年愛用しています。とても凝った作りで、お値段もお手頃でお勧めでしたが、残念ながらその販売は終わってしまったようで、2025年現在、お手頃価格で買えるせん引きがどこにも見当たらないので、自分で作ってみました。
ステンレスの板に、電動カンナの替刃を、竹の楔(くさび)をはさんでボルトで固定しただけという、驚くべきシンプルな作りです。名付けて、シンプルせん引き。シンプルな作りですがなかなかの良い使い心地で、好評です。
まず、何らかの方法で固定します。

・クランプで机に固定する(写真)
・ビスで机に固定する(出しっぱなしに出来て、ビス打ちできる机なら)
の他、木で台を作ってそれに固定するのも良いでしょう。裏にボルトの頭が出ているので、机からはみ出すように固定します。ちなみに写真のクランプは百均(ダイソー)で1個110円で買ったものです(余談ですが、ダイソーのアプリで商品の店ごとの在庫が検索できます。写真のクランプは「C型クランプ50mm」です)。
刃が斜めに固定されていて、刃と台のスキマが、左の方が広く、右の方が狭くなっています。
左の端から、(削りたい面を上にして)ヒゴを挿し、ちょっと右にもどして引きます。あまり厚く削ると切れるので、一回に削る量は薄くしてください。もし途中から削る量が厚くなってきたら、少し左にもどして引くと良いです。
言葉でわかりにくいかもしれないので動画を作ってみました。
もし、ヒゴが厚くて、左の端のスキマに入らない場合は、
・数本ならちょっとナイフで削る
・まあまあの本数なら、下記の調整方法でスキマを広くする
で対応してください。
節のあるヒゴの場合(節が中心にひとつある場合)は、まず、端にむかってせん引きし、次に節にむかってせん引き(節の手前のこれ以上引けないところまで引く)、節の反対側も同様にして、最後に、ナイフで、節のところを削ります。節のところは、厚みによっては、せん引きの隙間の広いところ(左の方)で削れる場合もあります。わかりにくいですね。こんど動画を作ります。
【調整方法】
刃と台のスキマの大きさを変えたいとき
1. 蝶ねじを2つともゆるめます(外さない)※下にボルトがあるので10番のスパナなどが必要
2. 楔(くさび)をたくさん差し込むと、スキマが大きくなり、差し込みを少なくすると、スキマが小さくなります。刃の反対側には紙きれを挟んでいますが、この紙を厚い紙などに変えれば、狭い側のスキマを変えられます。お好みで楔を左ではなく右側に入れてもいいです。
3. 楔を挿した側の蝶ねじを軽く締め、刃の位置を確認してから(刃がしっかり手前に位置するように)、反対側の蝶ねじをゆるめた状態で、楔を挿した側の蝶ねじをスパナを使ってしっかりと締めます。
4. 反対側の蝶ねじは、強く締めると刃の傾きが変わってしまうので、手で軽く締めるだけにします。
刃が楔にぴったりついた状態になっていればOKです。
楔は、長さ5cm、厚み6.5mm(厚い側)~2mm(薄い側)くらいのものをつけています。これで角度が5度くらいになります。刃の角度を変えたい場合は、お好みの角度の楔を作ってください。
※使えるように調整してあるので、まずそのままの状態で使って、使えることを確認してください。ばらして組み立てた後に極端に切れ味が悪くなったら、組み立て方が間違えています。上の説明をよく読んで組み立て直してみてください。
刃の切れ味が悪くなってきたら、研ぐことができます。普通の砥石で研げます。替刃を買って交換したい場合は「カンナ刃 マキタ1911B用」というのを買ってください。新品の刃は食い込むのですこし刃を落とします。販売するせん引きには、新品の刃を使っていますが、良い塩梅で引けるように調整してあります。


今まで使っていた互換品はMade in Japanでしたが、今回販売用に純正品を買ったらMade in Chinaでした。下のリンクは純正品です。
最後に、せん引きのしすぎで腱鞘炎になる人が多いです。私もなったことありますが、とてもいやなものなので、ならないように気をつけてください。
・滑り止めつき作業手袋を使う
・指2本ではなく5本でつかむ
・他の作業と交互に行う(休憩を入れる)
などで予防してください。マメに休憩を入れるのが良いのですが、案外難しいので、私の場合、網代の弁当箱などを作るときは「24本せん引き」と「24本編む」を交互にやるようにしています。ご参考まで。
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