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プリティユニオン - 【勝利報告】雇い入れ時健康診断費用の自己負担がなくなりました!

【勝利報告】雇い入れ時健康診断費用の自己負担がなくなりました!

カテゴリ : 
法律・知識
H市は、雇い入れ時健康診断の費用や手間の負担を、労働者に押し付ける脱法行為を長年つづけてきましたが、来年度(2011年4月)からは、使用者負担で行うことに是正されました。ネットで検索すると同様の脱法行為は、営利非営利問わず、広く行われているようですが、採用前後の労働者の立場の弱さにつけこんだ卑劣極まりない行為です。全国の他の職場でも是正が進む一助となることを願って、ここに顛末を報告します。
1.どのような脱法行為であったか

労働安全衛生法および労働安全衛生規則により、使用者には、年1回の定期健診に加えて、労働者を雇い入れたときの健康診断が義務付けられています。そして、「昭和47年9月18日基発第602号」という通達で、その費用は当然事業者が負担すべきものであるとされています。

ところが、下に示すように、労働者が、健康診断書を提出した場合は、その義務は免除されるという、例外規定があるのです。この例外規定を悪用し、労働者に「採用手続きの書類」として健康診断書を提出を義務付け、労働者が健康診断書を自費で提出すれば、雇い入れ時健康診断をまぬがれることができます。

H市の場合は、あなたを採用しますという通知とともに、費用自己負担で健康診断書を提出せよという通知がありました。また、毎年7月ごろ行われる定期健診も、採用1年目の者は対象外となっていました。なお、プリティユニオン組合員の場合、それまで民間委託されていた業務の「直営化」により、業務は変わらないが、雇い主だけが変わるという「採用」でした。

引用:労働安全衛生規則第43条
(雇入時の健康診断)
第四十三条  事業者は、常時使用する労働者を雇い入れるときは、当該労働者に対し、次の項目について医師による健康診断を行わなければならない。ただし、医師による健康診断を受けた後、三月を経過しない者を雇い入れる場合において、その者が当該健康診断の結果を証明する書面を提出したときは、当該健康診断の項目に相当する項目については、この限りでない。
(以下、項目は省略)

2.2010年4月、採用時の健康診断書の提出について市への疑義申立(要するに提出のひきのばし)

私たちの場合、まず、市の担当部局に出向いて、「なぜこのような高額の自己負担をして、健康診断書を提出しなければならないのか、そんな金も時間もない、雇い入れ時健康診断なら、使用者負担で実施せよ」と文句を言ってみました。私がやるとこんなに喧嘩腰になるのですが、同僚のひとりは「病院に行く時間がなくて出せません~」というソフトバージョンを使っていたので、どちらでも、お好みの方をどうぞ。

市の回答は、当然ながら、「採用時の書類で、みなさん出していただいているので、あなたがたも出してください」というような内容でした。

そしておきまりの「正規職員も同じですから」。2万円の負担の重さが、正規公務員と官製ワーキングプアでは、全く違うということについて、正規公務員の大半が想像すらできないという事実には、毎度のことながら腹がたちます。

3.2010年4月、管轄の労働基準監督署に、労働安全衛生法違反申告

同時に、管轄の労働基準監督署へ、労働安全衛生法違反の申告をしました。

監督官からの報告によると、監督署に対して市は「雇い入れ時健康診断は 使用者が負担しなければならないのは承知しているが、あれは採用の手続きである。ただし、提出していない人がいるなら、新規採用者の健康診断は行う」と回答したそうです。

4.2010年5月、労働基準監督署より、市へ是正勧告

市は結局「採用時のの書類提出はひきつづき求めつづけるが、健康診断書を提出していない職員に関しては、7月の定期健診をうけてもらう」という決定をしました。「雇い入れ時健康診断」は、採用後何ヶ月もたってからではだめだということで、5月11日に、監督署が是正勧告を出してくれました。



画像はクリックで拡大します。黒塗りになっているのは、情報公開制度を利用して入手したため。くわしくはこの記事の末尾をご参照ください。

5.2010年7月、プリティユニオン組合員、定期健診受診

新規採用者は、定期健診の対象外となっていましたが、「採用時」の健康診断書を提出していない、プリティユニオン組合員には、定期健診のお知らせが届いて、ふつうに受診できました。

6.2010年12月、市からプリティユニオンへ、翌年度より是正の報告

市の担当者から、来年度より、採用書類から、健康診断書を外すことを決定したことが報告されました。ユニオンに報告があったのは、その間、団交で要求を出していた関連からです。

以上が顛末です。ひとりでも出来る非常にシンプルな手法なので、どうぞ皆様おためしください。

ただし当然ながら使用者にはにらまれます。私たちも、人事課長と課長代理と、直属の上司に、狭い個室でとりかこまれて、健康診断書を提出せよとすごまれたり、直属の上司から、そういう角が立つことをするのはあなたのために良くないといったおためごかしの説教をされたりしました。私たちは、当然ながら、人事課長にも直属の上司にも、がっつり反論しましたが、不愉快で面倒くさいことではありました。もちろん、勝利の喜びの大きさに比べたら、この程度の手間や不愉快さは、カスみたいなもんです。これから、H市に採用される全員が、不当に2万円も支払わずにすむことになったのですから。

7.【オマケ】是正勧告の情報公開の方法

今回のように、労基法違反などを申告して、是正勧告を出してもらったとき、監督官は、何月何日にこういう趣旨の是正勧告をは出した、という報告はしてくれますが、コピーはもらえないし、見せてもくれません。コピーが欲しいときは、管轄の労働局に、情報公開申請をします。

情報公開申請の方法は、大阪労働局の場合、http://osaka-rodo.go.jp/info/kokai/kokai.html に書いてある通りで、開示請求書の用紙をダウンロードして、記入して、印紙をはって、郵送したら、しばらくして、開示決定通知が届き、受け取り方法を回答すると、送ってもらえます。開示請求の際は、「X年X月X日にXXX監督署が事業所に出した是正勧告」という書き方をします(事業書名を書くと受け付けてくれません)。そして、事業書名などが黒塗りになったものが開示されます。今回は、同じ日に、他の事業所の是正勧告も出ていたので、それも一緒に送られてきました。

どうせ開示されるんだから、監督署が直接コピーをくれたら簡単なのに、と思いますが、現状ではこういうことになっています。やりかたさえわかっていれば、たいした手間ではないし、費用も印紙300円と郵送料ですから、それほどかかりません。

なお、正規公務員は、労働基準監督署は管轄外だそうですが、「特別職非常勤」(プリティユニオン組合員の雇用形態)の場合は、労基法全面適用で、監督署が指導などしてくれます。
  • tigrimpa
  • 2010-12-7 8:10
  • 閲覧 (29408)

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