【1月4日18時ごろWANサイト (
http://wan.or.jp) へ投稿したら23時ごろ削除された記事の再掲,たった5時間で300以上のヒット数で画期的な記事だったのに削除してもったいなかった】
あけましておめでとうございます.
ユニオンWAN委員長/年末までWANウェブマスターをしていた遠藤礼子です.
私はWANの立ち上げ直前の3月半ばにWANのウェブマスターとして雇用されました.「とりあえず3年間は保障する」という話でした.私が採用された時点で,サイトの中身どころか,制作業者との打ち合わせも出来ていない状態でしたが,相当な無理をして5月末の公開まで持ち込みました.その後公開した状態で,おかしいところを修正する作業を半年ほど必死に進めて,あとは細かいところを調整すればなんとかひととおり形になるかな,と思っている矢先の,12月11日(金)「サイト運営について相談がある」として突然会議が開かれ,ウェブマスター業務を外注することが決まったと一方的に通告されました.[pagebreak]出席者は,理事3名と私.
以下は,理事長から説明された内容のメモの転記
・トップページが見にくい
・直帰率が上がっている
・(遠藤さんはややこしいことは)勤務時間内に電話でと言うがそれでは対応しにくく,迅速なニーズに対応した動きがしにくい
・リニューアルをすることになったが,実際はまだ先になる
・同時に,管理をしてくれると言う業者がでてきた
・業者にたのめば,運営がスムーズに行ってコストがかからない
・遠藤さんのやっていることの大半を安いコストで業者がやってくれることになった
メモ以上,以下Q&A
Q 要するに解雇ということか
A 解雇ではない 他のことをしてもらう
Q 賃金は変わらないのか
A 同じ賃金のままというわけにはいかない
その後,いろんなやりとりがあった後,「今の説明は何一つ雇用に手をつける理由にならない.争議をかかえたらもっと大変なんだから考えなおした方が良い」と私が理事に警告し,その日は時間切れでした.私がダブルジョブの日で,次の職場に走る必要があったからです.
翌週12月14日(月),ユニオンWANから,「ウェブマスターの業務のアウトソーシング/外注を白紙撤回すること」等,4項目の要求を,理事長あてに送付しました.回答の期限は,12月25日(金)としました.
その後12月22日(火)に,理事長から私に「11日の話に誤解があったようですが,今行おうとしているのは,サイトのリニューアルであって,担当業者を**社から取り換える,ということです.遠藤さんの仕事のアウトソーシングというわけではありません」(伏字引用者)というemailがありました.私の仕事の外注は撤回された,これで安心して年が越せると喜びましたが,後にそれはぬか喜びであったことが判明します.
25日(金)には,回答書のかわりに理事が4人でやってきて,ふたたび会議が開かれました.
出席者は,使用者側理事4名,労働側2名.
以下は,理事から説明された内容のメモの転記.
・リニューアルとプチ・リニューアルの2段階でリニューアルすることになった
・サイト・リニューアルが必要な理由は
・アクセス数が停滞している
・どこに何があるのかがわかりにくい,検索がしにくい,ぱっと見が悪い,など,訪問者からの声がきびしい
・直帰率が高くなっている
・内容はいいのにアクセス数が上がらないのはユーザビリティーが悪いから
・財政状況を改善したい/NPO会員を拡大したい
・高齢者向けにサービスする必要がある
・広告収入を得るためにアクセス数UPが必要
・秋くらいからリニューアル業者との交渉を行って,12月14日はプレゼンをして業者を決定した
・xoops(という現在使っているシステム)はダメだという結論になり,システムを全部入れ替えるリニューアルを行うことになった
・プチ・リニューアルもすでにやりはじめた.遠藤さんでは難しいと判断して全部業者にやってもらうのことになった.それが合理的であると判断した.
・(遠藤さんの勤務時間を)週2日に減らしてから連絡時間が折り合わなくなった.
・業者は曜日・時間を問わず対応してくれる
という説明でした.あれ?ぜんぜん撤回されてないじゃない!
メールでの「誤解」というのは何のことだったのかと聞けば「遠藤さんの仕事のアウトソーシング【がメイン】というわけではありません」の意味だったんだそうで・・・トホホ.
その上で,労働時間を半分にしたうえで,賃金を下げて,今よりもっと簡単な仕事をしてもらいたい,という提案がありました.賃金が,今の40~50%くらいだとすれば,収入は今の20~25%になる計算です.
また,前回の説明では,業者の方が安くやってくれるということが理由のひとつとして上げられていましたが,この日は,安いのは理由ではない,と説明されました.
ところで,労働条件の変更をともなわない,業務命令や配属変えは,使用者の権利ですが(例外はあります),労働条件の変更をともなう場合は別です.労働条件の不利益変更には,解雇同様,厳しい規制があります.そんなことが一方的に出来るとでも思っているのは,いかにも世間知らずのWANの理事なのですが,相手が無邪気でも,やられる方はたいへんです.
この半年私が必死に頑張ってなんとか形にしてきたことをどう思っているのかと聞いたら,それはもう,ここまでやってこれたのは遠藤さんのおかげだ,なんてことをさらっと言ってました.
そんなわけで,年末に,改めて,一方的に仕事を干されたことが言い渡されて,年越しを迎えました.だから,元旦に,フォントが小さく固定されてしまった等の変更は,私が行ったことではありません.
世間知らずのWAN理事のことですから,先のことは何も考えずに,私の仕事を干したんだと思いますが,私から仕事をとりあげるのは簡単でも,賃金を1/5にするのは簡単ではありません.
さて,こんな目にあって,私は,2001年3月に当時非常勤講師として働いていた大学で,あまりにもひどい顛末で雇い止めになったときのことを思い出します.
当時私は,非常勤講師組合には加入してはいましたが,労働者の権利のことなんか何一つ知らなかったし,誰に相談するべきかも知りませんでした (非常勤講師組合も当時は実に頼りなかったのです).それで,とりあえず,手近な友達数人に相談してみたら,片っ端から「かわいそうだけど世の中そんなもんだ」「かわいそうだけどあんたも悪い」というようなことを言われて,本当にひどい目にあいました.そんな中にひとりだけ「あなたが闘うなら私は支援する」と言ってくれた人がいて,それが,当時の私の大きな心の支えでした.そのときは最終的に「泣き寝入り」を選択したけれど,このときの悔しさと「あなたが闘うなら私は支援する」という言葉のありがたさは,私のその後の活動の大きな原動力となりました.
それから9年,非常勤講師組合とゼネラルユニオンの活動の中で,数え切れない労働争議を経験して,今なら,2001年と同じことがおこっても,泣き寝入りという選択はありえませんが,当時は,泣き寝入りを選択せざるを得なかったのです.
WANで仕事を干された状態で新年を迎えましたが,当然ながら,不当に仕事を干されたくらいで自主退職するとか,賃金を1/5にすることをあっさり受け入れるような状況にはありません.社会情勢も,私も変わったし,何より,当時と違って私を支援してくれる人がたくさんいます.ちなみに上記の「あなたが闘うなら私は支援する」の人は,WANの理事で,今回は逆の立場にいるのですが,こういう面倒くさい状況も非営利団体にありがちな話かと思います.
世の中には,ひどい目にあわされても,闘いたくても闘える状況にない人がたくさんいると思います.私が今闘える状況にあることは,本当にありがたいことです.だから,ちょっと面倒くさくはあるけれども,きっとこれも良い経験になるにちがいないし,争議には楽しいこともいっぱいあるので,せいぜい頑張ろうと思います.
長文最後まで読んでくださってありがとうございます.説明不足の点がたくさんありますが,今日はこのへんにして,各論については,日をあらためて詳しく報告・説明させていただきます.
ご支援どうぞよろしくお願いします.
ユニオンWANへの支援のメールは uwanアットprecariato.info まで!
ユニオンWAN委員長
遠藤礼子
*この記事は、当初、
http://precariato.info/modules/bulletin/index.php?page=article&storyid=2 に掲載されていたものを、こちらに転載したものです。(2010/8/6)